Zurich InstrumentsのUHFQA量子アナライザは、最高速度と忠実度で最大10個の超伝導またはスピン量子ビットを並列読み出しするためのユニークな装置です。UHFQAはナノ秒のタイミング分解能で最大±600 MHzの周波数スパンで動作し、IQベースバンド動作用に2つの信号入出力を備えています。 UHFQAは、マッチド・フィルタ、リアルタイム・マトリックス演算、ステート識別などの低遅延信号処理チェーンにより、100量子ビット以上の大規模な量子コンピューティング・プロジェクトの開発をサポートします。
主な特長
- 1.8 GSa/s、シングル・サイドバンド変調による±600 MHzの測定範囲
- 12ビット・デュアル・チャンネル入力、14ビット・デュアル・チャンネルAWG
- 最大10量子ビットの並列読み出し
- 調整可能なマッチド・フィルター、シグナル・コンディショニング、クロストーク抑制、スレッショルド操作
- LabOne®コントロールソフトウェアおよびPython、C、MATLAB®、LabVIEW™および.NET用API
- 量子コンピューティング
- 超伝導量子ビット
- 半導体スピン量子ビット
- 周波数多重読み出し
- シングルショット量子ビット読み出し
- アクティブ量子ビットリセット
- 量子ビットスペクトロスコピー
- ラビ振動
忠実度の高い高速読み出し
UHFQAは、被測定デバイスの伝送振幅と位相を測定するためにパルス測定を行います。信号対雑音比(SNR)を最大化するには、パルス整形とマッチド・フィルタリングの2つの方法があります。任意波形発生器によるパルス整形は、応答の遅いデバイスでもリングアップとリングダウンの時間を最小にします。UHFQAのデジタル・フィルタのステップ応答は、各フィルタに4kSa長の重み関数をプログラムすることで、デバイスの過渡応答に合わせることができます。単純な重み付けなしの積分に比べ、適切にマッチングされたフィルタを適用することで、SNRが大幅に改善されます。
スケーラブルな量子セットアップ
1本のマイクロ波ラインで10個の量子ビットを測定することで、極低温増幅チェーンを最適化することができます。10 x 10のマトリックス信号プロセッサは、クロストークの系統的な抑制を可能にし、結果としてデバイス製造の許容誤差を広げることができます。HDAWGと組み合わせることで、複数のUHFQAを量子スタックの量子ビット制御と読み出し用の完全に同期化された計測機器として使用できます。低遅延32ビットDIOインターフェースは、特に量子エラー訂正において、複数量子ビットの状態のフィードフォワードを可能にします。
量子対応ソフトウェア
UHFQAは、LabOneとPython, C, MATLAB®, LabVIEW™よび.NET用のAPIによって制御できます。Pythonの拡張サンプルライブラリは、既存の測定フレームワークへの統合を容易にします。LabOne データサーバが提供するデータ構造化と処理機能により、ソフトウェアスタックのユーザ部分はシンプルで簡単にメンテナンスできます。
量子ビット測定
Filter memory | 4096 Sa/channel |
Real-time matrix operations | 1× deskew (2×2 real) 10× rotation (2×2 real) 1x Crosstalk suppression (10×10 complex) |
Matrix elements | Range -1 to +1 Resolution <20e-6 |
Data logger | Memory 1 MSa Max. 217 averages |
Monitoring scope memory | 4096 Sa/channel, 2 channels |
Monitoring scope averaging | Max. 215 averages |
Statistics unit | Count number of logical 1 in bit pattern Count number of transitions in bit pattern |
UHF信号入力
Frequency range | DC - 600 MHz |
Input impedance | 50 Ω or 1 MΩ || 18 pF |
Input voltage noise | 4 nV/√Hz above 100 kHz |
Input ranges | ±10 mV to ±1.5 V |
A/D conversion | 12 bits, 1.8 GSa/s |
任意波形発生器
Channels | 2 |
Markers | 2/channel |
D/A conversion | 14 bits, 1.8 GSa/s |
Output ranges | ±150 mV, ±1.5 V (high-impedance load) -12.5 dBm, +7.5 dBm (50 Ω load) |
Waveform memory | 128 MSa/channel (main) 32 kSa/channel (cache) |
UHFQAQ&A
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UHFQAは、数十ナノ秒から数ミリ秒の時間スケールでの高周波信号のパルス、時間積分測定に基づく読み出しに対応するように設計されています。これは特に、回路QEDアーキテクチャにおける超伝導量子ビットの分散型読み出しや、半導体スピン量子ビットの読み出しに使用されるいくつかのRFリフレクトメトリ法をカバーしています。
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UHFQAには、トラップドイオン量子ビットの測定に通常必要とされるカウンタ機能がありません。このような実験には、マルチチャンネルAWG機能とパルスカウンターを組み合わせたHDAWG任意波形発生器を推奨します。また、UHFQAは、DC電圧や電流測定に基づく測定スキームや、電子のトンネル事象の検出に依存する方法には適していません。
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UHFQAでは、UHFLIおよびUHFAWGのアップグレードオプションはご利用いただけません。ただし、UHFQAの任意波形発生器はUHF-AWG任意波形発生器と同一です。
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UHFQAは32ビットDIO VHDCIインターフェースでPQSCプログラマブル量子システムコントローラに接続します。これにより、量子ビットの読み出し結果をPQSCに転送できます。UHFQAは32ビットVHDCIインターフェースでHDAWG任意波形発生器にも接続できます。これは基本的なフィード・フォワード・プロトコルに最適です。電圧レベルが異なるため(UHFQAは5V、HDAWGは3.3V)、この場合は分圧器が必要です。詳しくは 弊社までお問い合わせください。
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いいえ。UHFQAの制御と測定データの取得は、通常のPCで可能です。リアルタイム処理用の測定データは、PQSCに送信できるのと同じ方法で、基本的なパラレルTTL信号としてカスタム・デジタル・エレクトロニクスにも送信できます。
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UHFQAは、従来の任意波形発生器または内部トリガー・ソースによってトリガーすることができます。
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UHFQAには、LabOneソフトウェアとPython、LabVIEW、MATLAB、C、.NET用のAPIが付属しています。オープンソースのQuCoDeS測定フレームワーク用のPythonドライバも用意されていますが、このドライバはZurich Instrumentsでは保守していませんのでご注意ください。ソフトウェアに含まれる量子ビット読み出しアプリケーションのPython APIの例は、他の測定フレームワークへの迅速な統合に役たちます。
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この機能は、信号のクロストークとIQミキサーの位相のアンバランスを補正することを目的としています。
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それぞれの量子ビットからの信号が1つの直交信号だけになるように、積分後の信号を変換するために使われます。
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量子コンピューティングチップ上の回路素子間の望ましくないカップリング(例えば、ある量子ビットから別の量子ビットの読み出し共振器へのカップリング)の影響を排除するために使用します。