HDAWG-MFマルチ周波数オプションは、HDAWG多チャンネル任意波形発生器の振幅変調機能を強化します。このオプションにより、より高速な波形アップロードと、より柔軟なキャリア周波数のチューニングが可能になります。特に多数のキャリア周波数を重ね合わせるアプリケーションに有効です。
主な特長
- AWGチャンネル・ペアにつき4個のデジタル発振器(標準 1個)
- 最大 750 MHz の周波数帯域
- 高度な変調のための 出力加算器:デジタル I/Q、位相、振幅、周波数
- 1チャンネル内の別々のキャリアに対する独立したエンベロープ:位相サイクリング、周波数ドメインの多重化
HDAWG-MF アップグレードと互換性
- フィールドアップグレード可能なオプション
- すべての HDAWG オプションに互換性あり
HDAWG-MFオプションは波形のアップロード時間を短縮し、高速な周波数変更が必要な多周波数アプリケーションでの柔軟性を高めます。波形メモリにプログラムする代わりにデジタル発振器を使用してキャリアを生成することには多くの利点があります。メモリを再プログラムすることなく周波数を素早く変更でき、パルス・エンベロープから長いパターンで複数回使用できるため、NMRなどの狭帯域アプリケーションではキャリアよりも大幅に低いサンプリング・レートでエンベロープ信号で目的の波形を生成できます。
またオプションには、チャンネルペアごとに3つの追加発振器と発振器セレクタが含まれており、任意の発振器を任意のAWGエンベロープ信号に対応させることができます。出力加算器により、HDAWG-MFは、任意のチャンネル・ペアの2つの波形信号出力(モデル・バリエーションにより、合計4または8つの波形出力あり)で、すべての変調信号を自由に線形結合することができます。高度な変調モードにより、4つのキャリアのエンベロープ信号を個別にプログラムし、1つの出力で加算することができます。
このオプションがインストールされていない場合、1基の発振器が対応する2つの信号出力に常時接続されています。この構成は、外部周波数アップコンバージョン用のI/Q信号ペアの生成に適しています。一方このオプションの機能を使用すると、プレーン出力モードでサンプル・バイ・サンプル波形プログラミングを使用して、多数の任意周波数の信号を生成できます。
- トラップイオン量子コンピュータ
- NMRおよびEPR分光法
HDAWG-MF よくある質問
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デジタル発振器は、ダイレクト・デジタル・シンセシス(DDS)技術に基づくデジタル正弦波発振器です。分数周波数を使い、測定器のクロック周波数より高分解能の周波数設定が可能です。
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生成する信号に正弦波成分が含まれる場合、デジタル発振器を使用することで波形のアップロード時間を短縮できる場合があります。例えば
- キャリア信号がエンベロープの繰り返し周期と異なる場合
- 周期が異なる複数のキャリアがある場合
- キャリア周波数または位相を頻繁に調整する必要がある場合
- 信号に非常に長いバーストが含まれる場合
このような場合、LabOne AWG シーケンサを使い、以下の手段で波形メモリを最小化することが出来ます。
- 1つまたは少数のパルス・エンベロープ波形を繰り返し使用する
- エンベロープ信号のサンプリング・レートを下げる。
- 波形のアップロードを避け、オシレータ周波数または位相の高速かつシンプルな変更にする。
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デジタルI/Q変調とは、以下のデジタル信号の組み合わせを実現することです
I(t) cos(ωt) - Q(t) sin(ωt)ここで、I(t)とQ(t)はAWGによって生成された波形信号であり、cos(ωt)とsin(ωt)は角周波数ωで動作するデジタル発振器によって生成された信号です。デジタルI/Q変調は、キャリアの振幅と位相を時間にわたって完全に制御することができます。
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はい。これらの変調方式はすべて、キャリアの振幅と位相、つまり同相(I)と直交(Q)成分を部分的に制御する必要があります。デジタルI/Q変調は、AWGからの波形によってそれぞれの直交率が独立して定義されるため、D/A変換段の帯域幅内で、アナログ(FM、AM、PM)またはデジタル(PSK、QPSK、...)変調技術を自由に実現することができます。
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LabOneのシーケンサは、低レイテンシ(<100 ns)かつ決まったタイミングで周波数を変更することができます。