PIDオプションは4つの設定可能なPID(比例、積分、微分)コントローラで構成されています。様々な計測データを基に、多くの機器パラメータと出力値に迅速なフィードバックを行います。ロックインアンプとのシームレスな統合により、プログラマブルPIDは2つのレーザーの位相同期用のPLL(フェーズロックループ)の設定や、CEOの安定化、高速AFMモードのような幅広いアプリケーションでの動作を可能にします。PIDアドバイザは適切なパラメータを素早く見つける支援となり、ステップ応答と転送機能を表示して、セットアップの深い理解をサポートします。自動チューニング機能により、ループフィルタ設定は自動的に調節され最小の残差PID誤差を示す点が見つかります。
主な特長
- 4個の独立PIDコントローラ
- PIDアドバイザによるターゲット帯域幅の調整
- 自動チューニングPIDによる平均PIDエラー信号の最小化
- 最大300 kHzのループフィルター帯域幅による高速動作
- 入力パラメータ:復調データ、AUX入力、AUX出力、演算ユニット
- 出力パラメータ: 出力信号振幅、出力信号オフセット、発振器周波数、復調器位相、AUX出力
- 光PLL等に使える復調器位相データのアンラップ(± 1024 π)
- 微分要素用のローパスフィルタ
UHF-PIDアップグレードと互換性
- フィールドアップグレード可能
- その他の全UHFオプションとの互換性あり
- レーザー周波数安定化
- 干渉計安定化
- 光PLL(キャリア・エンベロープ・オフセット安定化(CEO)など)
- 高速AFM(自動ゲイン調整(AGC)など)
- MEMS特性評価
フェーズロックドループ(PLL)
PIDコントローラの重要な用途の1つは、2つの発振器の位相同期です。最も単純な例は、ロックインアンプに外部参照周波数として信号を入力し、デモジュレータ4または8のどちらかをExtRefに設定することで、内部発振器の1つに信号を同期させるといった例です。デモジュレータからの位相情報をPID に入力し、内部発振器の周波数設定にフィードバックします。さらにこの動作原理を逆に使い、例えば内部発振器の優れた位相ノイズ特性を使って外部レーザー・システムをコントロールすることもできます。
演算ユニット
演算ユニットを PID コントローラと組み合わせて使用することで、例えば復調データに対して基本的な数学演算を行い、その結果を PID の入力として提供することができます。簡単な例としては、干渉計の安定化で、atan2(Y/X)(X成分は基本周波数、Y成分は第2高調波に正規化係数を掛けたもの)による位相角の計算をフィードバックに使用することができます。
PIDアドバイザと自動チューニング
PID アドバイザおよび自動チューニング機能を使用すると、制御ループのセットアップを簡単に行うことができますが、これに加えてLabOne®ツールセットでは、その性能を評価するためのさまざまな機能が用意されています。プロッタを使うと、PIDエラーとPID出力を時間ドメインで表示し、またヒストグラム表示もできます。一方、ソフトウェアトリガを使って、PIDセットポイントが変更されたときのステップ応答を記録することができます。これらのステップ応答は、PIDアドバイザのモデル関数と直接比較することができます。また統合されたスペクトラムアナライザでは周波数ドメインのデータを表示し、「サーボ凸凹」 を強調表示し、潜在的なノイズ源を特定することができます。さらにスイーパーツールにより、伝達関数を調べて、すべてのテストセットアップについてより詳細に解明することができます。
設定 | 4つのPIDコントローラ、PLL機能付き |
PID入力パラメータ | デモジュレータ1-8、AUX入力1/2、AUX出力1-4 |
PID出力パラメータ | 信号出力1/2の振幅、オフセット、発振器1~8の周波数、AUX出力1~4 |
PID帯域幅 | 最大300 kHz |
PID最小伝播遅延 | 1.5 µs(信号入力から信号出力まで) |
PLL周波数範囲 | 10 Hz ~ 600 MHz |
PLL帯域幅 | 最大300 kHz |